
kentahasegawa

密集市街地や路地状敷地といった都市の空間的特徴、そして小商いや多様な働き方といった新たな暮らしのニーズに応答する空間のかたちとして、本プロジェクトでは「チューブ」と名付けた細長い多用途空間を提案した。このチューブは、敷地を貫通するように配置され、周囲に点在する隙間や奥行きといった密集市街地特有の空間要素を積極的に取り込むことで、建物と都市との連続性を生み出している。
密集市街地や路地状敷地といった都市の空間的特徴、そして小商いや多様な働き方といった新たな暮らしのニーズに応答する空間のかたちとして、本プロジェクトでは「チューブ」と名付けた細長い多用途空間を提案した。このチューブは、敷地を貫通するように配置され、周囲に点在する隙間や奥行きといった密集市街地特有の空間要素を積極的に取り込むことで、建物と都市との連続性を生み出している。
B住戸のチューブ部分。入居者が制作したプロダクトが展示されている。
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外観の特徴であるミント色の鉄骨階段は、この地域に多く見られる町工場の階段を参照したものである。周辺に点在する町工場は変形敷地に建っていることも多く、工場用途に対応するため階高が高く設定されているなどの理由から、独特な形態の鉄骨階段を有しており、まちの風景の一部になっている(意匠もチャーミングなものが多い)。
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kentahasegawa設計者は、こうした鉄骨階段を、複雑な用途や敷地条件に対応し、様々な条件をひとつの場としてまとめあげるための「辻褄合わせ」の建築的装置として読み替え、本プロジェクトに象徴的に取り入れた。路地を歩くとふと現れる特徴的な鉄骨階段──そんな風景を大切にしながら、建築とまちとの接点を描き出した。
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近年、木造密集市街地では不燃化の推進とともに、敷地の統合による風景の再編が進んでいる。そのなかで、採光、アクセス、法規制の観点から利活用が難しい変形敷地が数多く生まれている。今回の計画地も、そうした都市更新のプロセスの中で典型的に現れる土地形状である。
kentahasegawaパワービルダーによる建売住宅への置き換えが進み、住居専用の単一用途化が加速するなか、本プロジェクトは、良質な木造密集市街地の未来を模索するオルタナティブな住モデルを実現することを目指した。所在地:東京都大田区大森中
用途地域:第一種住居
防火地域:準防火地域
第2種高度地区
敷地面積:150.03 ㎡
建築面積:84.59 ㎡
延床面積:193.01 ㎡
用途:長屋 木造軸組|準耐火構造|3階建|全5住戸
1階|A 住戸:17.57 ㎡|B 住戸:48.96 ㎡
2階|C 住戸:33.84 ㎡|D 住戸:33.07 ㎡
3階|E 住戸:59.56 ㎡|
施主:つくる地所株式会社
所在地:東京都大田区
設計:CHAr(連勇太朗)+GANEMAR(小金丸信光)
施工:カドヤ建設
ロゴデザイン:YOCHIYA
リーシング:CHAr(川瀬英嗣)+仙六屋(茨田禎之)
完成:2025年5月
写真:長谷川健太