merry attic un
安心できる空間で、中高生の「日常」を支える――杉並区「イブニングステイ事業」merry attic un
COMISSION一般社団法人merry attic
APPROACH SPATIAL DESIGN,
DURATION2024.9-2025.1
TEAMmerry attic, sekiguchi home tech, haruka shoji, PINHOLE, SERVICE, LIXIL
WEBNone
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杉並区が子ども家庭庁の「児童育成支援拠点事業」として実施する「イブニングステイ事業」の空間デザイン。運営を担うのは、地域で子育て支援に取り組んできた一般社団法人merry attic。この拠点は、家庭や学校など、日常の生活の中で安心して過ごすことが難しい中高生が、安心して「自分の時間」を過ごせるようにとの目的で整備された。放課後に温かな食事をとりながら静かに過ごしたり、必要に応じて支援スタッフが寄り添い、日常的な関わりの中で子どもたちの心に触れていくための、穏やかな居場所を提供している。 空間設計にあたっては、「安心感」「自分の空間を尊重できる距離感」「さりげない見守り」をキーワードに、家庭的でありながらプライバシーにも配慮した構成とし、子どもたち一人ひとりが無理なく存在できる環境を目指しました。 CHArが2024年から取り組むGOOD GOOD NEIGHBORSというソーシャルセクターと不動産会社/物件所有者を繋ぎ、空き家や空室を使いながら住まいのセーフティネットづくりや社会的弱者の人々のための居場所づくりを行う取り組みの一環のなかでmerry atticと出会い、プロジェクトが実現した。
project photo篠原優ライブラリースペース。タイルが貼られた4つの什器が置かれている。利用する十代の子どもたちは、他者との距離感や関係性に対して敏感であるケースが多く、小さな空間のなかで互いの気配を感じつつも、直接目線が合わない什器の形と配置にした。
project photo篠原優他の人の目線を気にせず、一人で気ままに過ごすことができる隠れ場としての什器。
project photo作成:CHArライブラリー、ダイニング、プレイルーム、キッチン、スタディルーム、レスティングスペースの6つの部屋で全体がつくられている。各部屋には、異なる特徴を持った家具や什器が置かれている。「施設っぽい」空間にならないようにしようという方向性を当初からチーム全体で共有しプロジェクトが進められた。「かどシェルフ」や「きっかけ長押」など、モクチンレシピも使われている。
project photo篠原優merry attic・上田千晶氏のドローイングを使って作られたオリジナルタイルと、庄司はるか氏によるカーテン。計画当初、merry atticからはゆっくり息ができるような空間として「森のなか水のなか」というコンセプトが提示され、それをもとにCHArから上田氏に対して「ゆらぎ」をテーマにドローイングパターンの制作を依頼。LIXILのサポートによって短期間でタイルを制作することができた。タイルは黄色と青緑の2種類あり、タイルの配置は場所の特性に合わせて貼り方のパターンを検討した。
project photo篠原優
project photo篠原優
project photo篠原優
project photo篠原優ダイニングスペースのテーブル。様々な角度や方向に向けて座る位置を調整できるオリジナルのテーブル。ここでも目線が直接合わない工夫を加えている。また、利用イメージが定まっていないため、場を運営しながら使い方を変えられるデザインとした。CHArによるデザイン、SERVICE市野氏による制作。
project photo篠原優スタディースペースのテーブル。
project photo篠原優レスティングスペース
project photo篠原優
project photo篠原優
project photo篠原優
project photo篠原優滞在中にスマホをしまっておくためのロッカー。
project photo篠原優硬質なタイルと、やわらかな天井のファブリックとクッション。
project photo篠原優

施主:一般社団法人merry attic

所在地:東京都杉並区

設計:CHAr(連勇太朗+波島諒)

施工:セキグチホームテック

ファブリック:庄司はるか

ロゴ・サインデザイン:PINHOLE(泉美菜子)

家具制作:SERVICE(市野俊介)

タイル制作:LIXIL

完成:2025年1月

写真:篠原優